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八幡平 大深沢源頭の湿原散策 2015.10.11-12

column 八幡平 大深沢源頭の湿原散策 2015.10.11-12

 

 体育の日は昔から晴天が多い。確かに10月10日は晴れた。しかし残念な事に山に向かった11〜12日は雨でやられてしまった。10日は盛岡に宿泊し、山仲間とともに最近オープンしたらしいこぎれいなお店と、盛岡に来れば毎回訪れる昔ながらのなじみの古いお店で懇親を深めた。

翌朝、沢登りの出で立ちで八幡平へ向かう。朝から天気がすぐれなかったが、松川温泉から八幡平へ向かう樹海ラインを車で登っていく。途中、赤川という沢の入口に車を止め、沢登りに入った。そのころから雨が降り出した。沢は久しぶりだ。靴底がステルスソールという沢専用の特別な形状のため滑りにくくはなっているが、久しぶりなので滑りやすい岩場では多少てこずった。それでも山小屋泊まりのための重いザックを担ぎながら軽快に高度を稼ぎ、ほぼ1時間で大深山荘に着いた。雨は上がっていたが風は強かった。

 大深山荘は2階建てのわりと新しい木造の小屋だ。すでに2パーティが休憩中だった。安比高原から八幡平を経て、ゆったりとした縦走路を岩手山へ向かう50kmのトレイル途中とのこと。天気が良ければ気持ちのいい山旅だ。しかもこの辺は人もあまり入らないため熊に遭遇することもある。要注意だ。我々はエッセンやシュラフなどの宿泊道具を小屋に残し、軽装となって出発した。縦走路を北へ辿ると八幡平の雄大な風景が眼下に広がった。鏡池が白く輝いていた。人工物がほとんど目に入らず、東北の懐深いところだ。

 これから我々は、湿原へ向かう。地図上で湿原の確認はできるが、夏道が通じているわけでもなく、今いる縦走路からもその湿原は見えない。誰も行った事もないだろう手付かずの湿原。地図からは池塘も散在しているのがわかる。藪のなかに足を踏み入れた。探検、そう久しく忘れていた冒険に心ワクワクしてきた。竹藪は場所によっては身長より高くかなり密集している。困難を極めながら、地図とコンパス、GPSを頼りに方向を定めて湿原へ向かう。小1時間下ったところで、急に藪が目の前から消え、誰もいない枯れ草の湿原に飛び出した。雨はまだ降ってきていない。ぐるりと湿原を見回す。熊も出没しそうな快適な空間だ。たぶん誰も来た事もないであろう湿原。誰の目にも触れたことのない空間だと想像すると、感動もひとしおだった。しばらく心地よい感触を実感していた。

 さてここからこの湿原を源頭にしている沢を下っていく。雨の影響もあって水量が多い。思いのほか長いくだりだった。大深沢と合流したところで、今度は北ノ又沢を登っていく。途中雨雲が広がり暗くなって雨が強く降り出した。沢は滑状になって、雨の中を快調に登っていく。階段状の滑り安い滝はロープを出して登った。さらに高度を稼ぐと沢は視界が開けてきた。雨も上がってまた湿原へ飛び出した。ここも一般登山者もほとんど来る事のない湿原だろう。とぼとぼと歩きながら景色を満喫した。

 さてここから最後の詰めの藪漕ぎ。難関だ。地図を落としてしまったためGPSのみ使用して小屋へ向かう。しかし登りの藪は下りと違ってかなりきつい。時々、横断する枯れた沢の窪地にはまって転落してしまう事もあってかなり苦労した。するとまた別の湿原が現れた。ここ八幡平は湿原の宝庫だ。それにしても、予定時間をかなり超過してしまっていたし、景色を楽しむ余裕もなくなっていた。何100m藪漕ぎしたのだろう。とてつもなく長い藪漕ぎだった。身体も冷えてきたし精神的にもめげそうだった。体力も限界だったが、藪の隙間に山荘の屋根が見えた。やっと終わった。その夜はきりたんぽ鍋を堪能し早々と就寝した。

記事の投稿日:2015年10月30日


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