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混迷を極める日本 2016.12.8

column 混迷を極める日本 2016.12.8

年末になり、東京オリンピック会場をめぐり、小池都知事と大きな黒いネズミとの攻防で火花を散らした。コンパクトオリンピックとして7,000億円で開催予定だったものが、今では2兆円とも3兆円とも言われている。どういうことか。黒いネズミ達にとっては所詮人の金。金銭感覚は完全に麻痺している。しかしそのお金は我々一般国民の税金なのです。そもそも安倍首相の演説で、Fukushima is under controlという嘘で始まった東京オリンピック。どう展開していくのか見ものです。

宮城県庁前にドーンと建てられた国の合同庁舎。その建設は税金の無駄遣いと猪瀬前東京都知事に叩かれて、一時は頓挫していました。しかし猪瀬があんなことになったら即座に建てられてしまいました。皆さんが納めた大切な税金で建てられているのです。あんな建物本当に必要ですか?法務局もそうです。正面から入ると全面石造りの吹き抜け構造。しかもなぜか両サイドに結婚式場のようなアールのかかった階段。印鑑証明とかとるための単なるお役所なのに、どうしてそんなにも豪華に建てなければならないのでしょうか。石巻には未だに仮設住宅にいる被災者がいるというのに。そんな中、今度はカジノ法案。政府は一体何をしたいのでしょうか。結局そうした娯楽施設を建設するのはゼネコンです。キックバックを狙った金儲けに突っ走っているとしか言いようがありません。

さらにTPP問題。トランプ次期アメリカ大統領がTPP離脱を表明したことで、その実現は遠のいたものの、日本政府は相変わらずTPPに固執し続け、早期に批准すれば日本のリーダーシップを見せつけられると躍起になっています。

「TPPの本質は、グローバル企業が一般国民を犠牲にした金儲けです。昔は戦争を仕掛けて国益を取りました。核兵器を持つ今、面と向かって戦争はできない。貿易上の仕組みを変えて利益を取ろうというのがTPP。昔は“戦争”、今は“TPP”なのです」これは北海道がんセンター名誉院長の西尾正道氏の言葉です。

TPPといえば、今まで農業とか自動車産業などが取りざたされてきましたが、その最大の目的は実は日本の医療なのです。TPPが締結されれば患者負担が増大し、混合医療が解禁され、皆保険制度も実質的に崩壊してしまうことになります。

 米国の医療はとんでもなく高いのはご存知の事と思います。日本の7倍です。家庭破産の62%は医療費によるとも言われています。米韓FTAが2012年に締結されたあと、韓国の医療費は2年間で2倍になりました。日本は韓国の医療規模の4倍ですので、あっという間に医療費が増大してしまうでしょう。結局TPPに入ることは、アメリカと同じ医療になるということです。日本の医療で行われている、お互いに『助け合う』、『共に生きる』という発想は全くありません。悲しいことに、医療も完全に金儲けの対象になってしまうのです。

しかし、一方でイギリスがEUからの離脱を決めました。イタリアも国民投票でレンツィ首相が辞任に追いやられました。これはEU自体が崩壊していく序章と言えるでしょう。つまり、グローバル化によって一部の企業のみに富が集中してしまっている事実が、ネットを通じて世界中に知れ渡った結果なのです。最も裕福な上位10%の富裕層が、世界の87.7%を所有しているのです。行き過ぎた市場原理主義や自由貿易推進こそが、世界の貧困・格差を生み出しているのです。それはもはや『自由』ではなく、強者(グローバル企業)によって『管理』された貿易なのです。

それぞれの国が、それぞれの独自性を持って、その国なりの発展を遂げればいいのです。そんな世界の趨勢の中で、TPPは時代に逆行しているといえます。

 

記事の投稿日:2016年12月08日


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