そしてこれから(2011.4.20)
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震災から1ヶ月が過ぎ日常は普通の生活に戻ってきている。自転車通勤も相変わらず継続中だ。いつもなら振り返る事無く素通りしていた春日神社だが今日はなぜか自転車を止めてしまった。桜が満開だった。鳥居と桜と石段に続く神殿、そしてその背後の高くそびえる杉の木に時間の流れを感じ、思わずシャッターを切った。やはりまだ震災の傷は癒えていなかったのか。
先日山の会の集まりがあった。皆元気そうだが今回の震災にはかなりショックを受けていたようだった。被災した人たちにいったい自分は何ができるのか自問し続けてきた。石巻や気仙沼まで出向いてはみても結局何もできない自分がいた。今何が必要とされ何をすべきなのか。時々刻々と状況は変化し必要な医療も変化していく。遠方からの医療団派遣の報道はあるが、県や市の医師会からの医療派遣の指示はない。若かりし頃に思い描いた医師としての初志が空回りしていた。そして無力感があった。
今まで趣味でやってきた山登りや自転車ヒルクライム、そしてマラソン。そんな事に意味はあるのかとまで考えてしまっていた。ヒルクライムの出場申し込みはしていたが、練習を開始する気にもなれずにいた。
4月20日水曜の診療は午前のみだったので、帰りも春日神社に立ち寄ってみた。春日神社の桜の木は、つんと上に向かって淡いピンクの花を咲かせていた。儚くも春のひと時だけ華やかにしてくれる。辛い事もあるだろうけど、背伸びする事無く、でも精一杯生きていきなさいと教えてくれているようだった。
記事の投稿日:2011年04月20日