3月29日予定通り朝7時半に蔵王白石スキー場に着いた。スキー場周辺は晴れていたが、不忘山山頂上付近から蔵王の稜線全体が雲の中だった。リフトを利用しようと思っていたが、すでに先週で終わっていて運行されていない。

さっそくスキーにシールを貼り付け一気にゲレンデを登りつめると、背後に白石から仙台港まで視界が広がった。眺望を楽しむ間もなく、まだ雲のかかった頂上に続く尾根を目指していった。

太陽が昇るにつれて気温も徐々に上がり雪が腐ってきた。雪崩には気をつけねばならないが、帰りの滑りが楽しめるか気がかりだった。尾根上に出ると、雪に包まれたコガ沢を挟んだ対岸にはなかなかの存在感を持った馬ﾉ神岳が姿を現した。仙台のすぐ近くにもこんなにもいい場所があったんだと再認識させられた。

雪庇に気をつけながら徐々に高度を上げていくと、尾根が細くなってきた。スキーをデポしてつぼ足になったが、間もなくガレ場でその先はもう不忘山山頂だ。雲は沸き上がっては消え、一瞬の陽射しもみられまだ天気悪化の兆候はなかった。頂上でのひと時を満喫し、尾根に戻ってスキーで滑降開始した。同行者は慣れないテレマークだったため難儀したものの、他人のシュプールのない楽しいバックカントリースキーだ。やがて傾斜が緩やかになり、雪山の緊張が解けるころ小雪が降り出していた。誰もいない木もまばらな雪の斜面を気持ちよく滑っているとずっとここにいたいという気持ちになってくる。やがて平原はゲレンデへと続き今日の行動も終焉となる。下山後は鎌先温泉で筋肉を解きほぐし、白石うー麺を堪能して仙台へと向かった。