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この1年を振り返って(2011.12.29)

column この1年を振り返って(2011.12.29)

 この1年は多くの人々の心に深い傷を残した。震災によっていとも簡単に多くの人の人生が崩壊してしまった。生活がかわってしまった。自分があまりにもちっぽけな存在に思えた。仕事そのものでさえ意味がないようにも思った。自分にはいったい何が出来るのかという無力感にうちひしがれた。それでも生きる事を強いられた。生きなければならなかった。人は何のために生きるのかと自問自答しながら診療にあたった。しかし診療しているうちに、患者さんとの会話の中で少しずつ自分のほうが癒されて行く事に気づいた。そして人のために何かをすることこそ生きる目的なのだと自覚するようになった。今、人のために自分にしか出来ない事、それをやることこそ自分の生きる道なのだと悟った。
 震災から9ヶ月が経った今でも、福島原発の放射能は漏出し、今後何十年も続くことになる。子供達の将来が非常に心配だ。俳優の山本太郎が脱原発運動で仕事を干された。彼は、アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチといった世界中の人権に目を光らせていたはずの団体が、福島の子どもたちの問題に関して大きな行動を起こしていないことを指摘した。人権問題で海外での素晴らしい活動をしながら、福島の子供達のためには何もしていない。東電やその関連企業からのかなりの寄付を受けているのだろう。寄付を受けなければ団体の維持すらも成り立たなくなってしまうのかもしれないが、団体設立理念の初心に返って欲しい。結局は本物ではなかったという事なのか。
 今自分にできることは、利害を捨て人のために全身全霊をかけて自分の力をだすこと。そして本物になるため、医師である前に人としてまだまだ甘い自分を戒め、新しい年を迎えたい。

記事の投稿日:2011年12月29日


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