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大朝日(2012.11.3-4)

column 大朝日(2012.11.3-4)

 古寺鉱泉から重いザックを背負って朝日連峰へ入山した。城整山の会4名で、もう終わりに近い紅葉の登山道を進んで行った。小雨も雨具が要らない程度で気にならなかった。途中から地面は雪に覆われ、一服清水までくると、雪はくるぶしまでになった。見上げると古寺山が正面に見えたが、上空は曇っていた。明日は高気圧が張り出してくれるだろうか。そう願いながら、最後の踏ん張りで三沢清水まで上がると、テントを張るに十分な平坦地があった。雪面をならして手早くエスパースを張った。昼に月山ICから降りた所の『大越そば』で大盛り板蕎麦を食べたが、消化がいいのかもう全員腹ぺこだった。早速エッセンに入る。お決まりの『きりたんぽ鍋』だ。最後はうどん。デザートはお汁粉にしたところ、以外に好評だった。疲れたときには甘いものに限る。ワインを荷揚げしようとしたが、ザックに入れる時スルリと滑って瓶を割ってしまい無惨な事になってしまった。コキジに外へ出てみると、上空に雲がかかっているが、遠く山形市の街灯りが望めた。まだ7時だがシュラフに潜り込んだ。久しぶりのテント泊、しかも雪山だった。腰が冷えてなかなか眠りにつけなかった。しかも夜間、テントが飛ばされそうな強風がゴーゴーと吹き荒れていた。
 朝4時半起床(9時間半睡眠?)。午後から天気が回復しそうだったので、なるべくスタートを遅くしたのだ。朝食はユッケジャンカップスープにおにぎり、スライスチーズを入れたものだ。しかしおにぎりが凍ってしまっていてスープが冷めてしまったのは想定外だった。もう既に陽が上がっていた。高曇りで時に風が強い。深い所で膝までの雪のラッセルで尾根道を上がって行く。古寺山山頂から主稜線が見えるはずだが、灰色の雲が吹き荒れて枝尾根の下部しか見えない。小朝日のトラバースから大朝日の稜線に入り、高度を上げるにつれて風が徐々に強くなってきた。尾根の南側から回り込んで、最後の300m手前で稜線上にあがると、前方からブリザードのような強風に見舞われた。氷滴が体にバタバタと突き刺さってくる。何度か雪面にしゃがみ込んで強風が収まるのを待った。視界もない上、風のためまともに正面を向けず、GPSを使用しながら大朝日小屋に向かった。とても長い300mだった。こつ然と白い雲の中に小屋が現れ、ホット一息ついた。小屋の中でホットコーヒーを飲んで一休み。天気の回復を待ったが、一向に回復の兆しは無かった。気合いを入れ直し下山することにした。
 今回は大朝日山頂を踏めないばかりかその山容をみる事もできなかったが、この天候の中、無事下山できた事で通常では得られない達成感や充実感を持ったに違いない。古寺鉱泉に着いた時の皆の顔には安堵と、自然の脅威と戦ったあとの自信とも言える表情になっていた。地元の温泉で汗を流し、高速のサービスエリアのカツカレーでお腹をみたした。遠方に朝日連峰を望めたが、稜線は褐色の厚い雲に覆われていた。

記事の投稿日:2012年11月13日


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