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イタリア自転車旅行(5)

column イタリア自転車旅行(5)

 泊まったホテルは丘の中腹にあって、目の前にはレストランがある。対岸の丘陵地帯には、別荘なのか小さいホテルなのかわからないが、目立たない小さな建物が点在していた。レストランはまだ開いていない。避暑地ともいえる観光地で、レストランが閉まっていること自体日本では考えられないことだ。イタリアらしいなと思った。ホテルにはレストランがないため、向かいのレストランで夕食を摂るしかないのだ。日本のガイドブックにも載っていない不案内な場所だし、移動手段は自転車なので遠出もできない。もう腹ぺこだった。ホテルフロントで確認し、オープンまで待って入ってみたが、結局利用者は我々ともう一組だけだった。しかし料理はイタリア旅行中で最も美味しかった。イタリアはやはりチーズが絶品だ。チーズリゾットはもう最高だった。お酒を飲むならやはりイタリアワインだろう。同行の二人はかなりの酒豪で毎晩のように飲んでいる。でも私は全く飲めない。というのも大学病院勤務時代に、学会発表や講演、手術など毎週のように立て込んで寝る暇もない多忙な数ヶ月があった。その忙しさのあまりか原因不明の咳が半年以上止まらなくなってしまったのだ。体調も悪化し、それ以上続くと喘息になるところだった。通常であれば立ったまま発表なのだが、立っていられず椅子に腰掛けて講演していた。それ以来お酒もやめた。もともとそれほど飲める口ではなかったし、飲まないと体調もすこぶるいいので、飲めなくなってしまった。レストランの名前は覚えていないが、また行きたいと思った。でもまた来ることがあるだろうか。そう考えると、今回の旅行がとても大切な時間を過ごしているとしみじみ思えた。
 翌朝、フィレンツェまで下り、世界遺産のあるシエナまで向かう。フィレンツェは是非寄ってみたい都市であったが、ナビをしてくれる伴走車もなく、その日の行程も目一杯だったのでそのまま郊外を通過しただけだった。あとで考えるととてももったいないことだった。全ての荷物を背負い、自分たちでナビを駆使してシエナを目指した。コンビニもないため水分も持たなければならない。山に入ったようなものだ。シエナも山奥にあり上り下りが多い。途中立ち寄った世界遺産らしい(?)街で休んだ。イタリア人観光客と話をしていたら『あなた達はラッキーだね』といわれた。何でラッキーなのかわからず、その後は黙々とシエナへ向かった。峠からシエナの街が見えた。少し小雨がぱらついた。そこでフランスから来たという自転車のグループに遭遇した。彼らから今日シエナでお祭りがあるということを聞いた。競馬のお祭りらしい。さっきラッキーと言われたのはこのことか。でも競馬?そんなに期待もせず、峠を下った。下りきったところで、急にナビのWi-Fiが入らなくなった。成田で借りてきた定額料金で通信ができるWi-Fi機器だ。落としてしまったのか?疲れているが、フランス隊と出会った場所まで上り返すこととした。しかし往復確認してもWi-Fiは見つからなかった。ホテルまではなんとか地図を確認してたどり着けた。結局Wi-Fiは自転車にくくりつけた荷物入れの奥から出てきた。通信のできなくなった原因はわからなかった。

記事の投稿日:2015年05月07日


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