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10周年を迎えて(2012.5.23)

column 10周年を迎えて(2012.5.23)

 5月23日当院の10周年を迎えた。人から愛され信頼されるクリニック作りを目指してきた。専門性を高めることで職員もプライドを持って働いてくれる事を望んだ。しかしそれに驕る事なく常に謙虚であること、笑顔で患者さんと接することが大切だ。当院では『患者様』ではなく『患者さん』とお呼びしている。それは物を売ったり、接客することを商売とするサービス業種ではないからだ。あくまで患者さんが病気や怪我から回復するのを医学的に手助けすることが仕事だ。そのためには確かな技術と経験が必要で、確実な理論に裏打ちされていなければならない。当然の事ながら常に新しい知識を得る努力も必要だ。しかし時には説明のつかない病態もある。医師やスタッフが親身にケアすることで、患者さんと伴にその疾患に立ち向かうことが必要だ。 我々の仕事は『山岳ガイド』のようなものだ。病いや怪我を負った患者さんの依頼を受け、山頂という治療のゴールへ向かう。我々専門家は、ザイルやピッケルを用いて登山するように、特殊な専門知識や技術を用いて安全に山頂へ患者さんを導く。しかし困難な登山道では必ず危険を伴う。100%安全ということはない。そして山を登るには、患者さん自身も自分の足で一歩一歩登らなければならない。自分自身で病いや怪我を治そうとする意志と努力がなければ治るものも治らない。 よく患者さんの中には、『よく分かんないから全てお任せします』という方がいらっしゃる。それは我々を信頼していただいているという証で嬉しい事ではあるけれども、治療する上では逆にマイナスなのだ。患者さん自身も治療に参加してもらわなくてはならない。特に我々が専門としている『手外科』領域は特にそうだ。手を自由に動かすために、非常に緻密な構造になっている。神経や血管、腱や靭帯、骨関節や筋肉がこの手の中にぎっしりとコンパクトに詰まっている。それぞれの指が一つ一つ役割を持って機能しているのだ。その一部が破綻してしまうと、その部位だけではなく手全体が動かなくなってしまう事すらある。手術をしてしまえば終わりではなく、スタート地点に立っただけなのだ。そこから機能回復のためにリハビリがある。リハビリがうまく行かなければ、手術前より悪化する事もある。だから患者さん自身が積極的に参加してもらわないと困るのだ。 患者さんによっては山頂を目指すのが無理であると判断されることもあり、治療を断念する事もある。お年寄りや体力のない方、リハビリが出来そうもない方には、手術せずに現状維持を選択することもある。一度損傷した手は、100%の機能回復は難しい。しかし患者さん自身と我々スタッフの意気を合わせ、お互いが努力する事で100%に近づけることができるのだ。 数年前から、ベガルタ仙台や楽天イーグルスの選手も当院で治療や手術をするようになってきた。もう引退したベガルタの平瀬選手、中日に移籍してしまった山崎選手、楽天の中島選手。先日は嶋選手の手術を行った。手術せずに治療している選手も多い。プロの選手は怪我が命取りだ。これからも彼らの選手生命が脅かされないようケアしていきたい。 当院ではもう一つ、メディカルフィットネスを行っている。会員100名程度で運動療法を行っている。中高年のセルフケアを目的に、その健康の後押しを我々医療従事者が行うものだ。『健康で笑顔』をモットーに健康運動指導者が担当している。まだまだ経験が不十分ではあるが、これからさらに充実させたいと考えている。

記事の投稿日:2012年05月30日


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