グランデコスキー場から西吾妻(2011.2.6)
column | グランデコスキー場から西吾妻(2011.2.6) |
---|
2月になり暖かく天気のいい日が続いた。晴れ男K隊員がいるだけあって2月6日は厳冬期ながら無風快晴で絶好の登山日和だった。月に1回しか行けていない雪山山行なので心が躍った。グランデコスキー場は福島の猪苗代湖近くなので、関東方面からの車も多い。朝8時半ゴンドラとリフトを乗り継いで入山ポイントに来ると、既に早朝入山したパーティのトレースが樹氷の奥へと続いていた。ラッセル跡から想像するとスキーで入山している人は少ないようで、ほとんどがスノーシューのようだった。西大巓の前衛ピーク前で振り返ると、磐梯山にかかった雲海の一部が檜原湖のほうへ滝のように流れていた。下界は曇りであるのに、ここは樹氷の氷に照り返す太陽の光がまぶしかった。この写真のようなパノラマ風景に、先行するパーティからも歓声があがった。今日は城整山の会わかさぎ隊が檜原湖に釣りに来ている。彼らにもこの景色を見せてあげたいが、悔しい事に彼らは彼らでわかさぎの天ぷらに舌鼓を打っているかもしれない。彼らの腕前は名人級で100匹も釣ってしまうとの事だった。しかし自分にはじっと体を動かさずに釣りをする事などとても信じられない事だった。
西大巓山頂に着くとくっきりと白く輝く飯豊連峰が望めた。今日この好天の中、飯豊に上がっているパーティはいるだろうか。学生時代、3月の飯豊ダイグラ尾根を吹雪の中何日も停滞しながら登り、飯豊本山からは小春日和の中、雪原のような稜線を門内岳まで縦走したことを思い出した。また雪のある時期に行ってみたいものだ。西大巓から西吾妻への按部まではスキー滑降。しかしシールを付けたままなので遅い滑りだしだった。按部は夏だったら湿原が広がっている。他のパーティからは離れて、誰もいない雪の平原をスキーで闊歩する。夏道はないので意のまま進路をとれる。なんという自由で爽快な気分。
西吾妻小屋を横にみながら西吾妻山頂に着いた。今度は東へと続くだだっ広い吾妻の稜線が見渡せた。北には朝日連峰、月山が浮き上がっていた。しばらく小休止し、スキーのシールを外してビンディングのヒールを固定した。ここから南への下りに入る。樹氷のないところを選んで下っていく。ツアーコースのナンバープレートも見当たらず、先行者のトレースを参考にしつつも地図とコンパス、高度計で現在地を確認しながら進んだ。他には誰もいない。樹林の間から磐梯山が見え、進行方向が間違いない事がわかる。樹間が広がりあたりは台地状になってきた。右手の中の沢を挟んで対岸にはスキー場が見える。ここまで来ればもうひと安心と腰を据えて昼飯をとった。上空には雲が広がって陽が陰ったせいか寒さを感じる。とそこへわかさぎ隊から電話が入った。予想通り大漁だったようだ。我々は二十日平手前に入る沢の左岸を進み、中の沢へと下った。グランデコスキー場まではあとわずかだ。温泉につかって汗で少し冷えた体を暖めてから帰ろう。
記事の投稿日:2011年02月11日