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久しぶりの鎌倉山(2012.6.17)

column 久しぶりの鎌倉山(2012.6.17)

 6月16日(土)朝の天気予報では、雨雲が日本中を覆い週末の天気は期待できなかった。しかし整形外科会合の帰りに携帯で天気予報を確認してみると、明日9時ころからの天気は晴マークになっている。ほとんど諦めていた17日(日)の鎌倉山の岩登りを決行することにした。集合時間を遅らせ、8時作並駅近くの駐車場集合に変更した。
 駐車場から見上げると、500mほどの鎌倉山だが雲がまだかかっていた。城整山の会隊員5名が集合した。各自登山靴、ハーネス、ヘルメットを装着し、急峻な山道を登り始めた。鎌倉山の岩は濡れると滑りやすい。今日はピナクル周辺のみで練習かなと考えていた。道の途中、ここで滑落死したクライマーの墓標が立っていて、いつも鯉のぼりが飾られている。合掌して安らかに眠られる事を祈り、これから登る我々の安全を祈願した。これは学生時代からやっていることだ。
 少しガスがかかっていたし、最後尾を歩いていたのだが、何も考えずに前の隊員のあとをついて行ったのがまずかった。ピナクルに行くはずが、2つ枝尾根の向こうへ登っていた。鎌倉山へは何回も来ているが、こんな事は初めてだった。尾根を横切って何とかピナクルへたどり着いた。
 ピナクルは別天地だった。風がやや強かったが、今までの雲は散り散りになり、少しずつ太陽が出始めた。眼下には作並駅、国道48号線を走る車の流れがおもちゃのように見える。ニッカウィスキー工場も手に取るように見える。雨で濡れた岩も乾燥してきた。久しぶりの岩山。仕事で疲れたからだが、山の空気に洗い流され蘇る気分になった。
 例年沢登りを始める前に、初心者対象の岩基礎訓練を行っている。ピナクルではいつものように、ザイルの結び方、自己確保の仕方を確認した。昨年はピナクルから懸垂下降していて、隊員の一人が蜂に襲われた。蜂の巣近くにザイルが絡まってしまったからだ。今回は蜂撃退スプレーを持参している。慎重にE隊員が懸垂下降して行ったが、一冬で巣はなくなっていた。
 ピナクルから駐車場が見えるが、今日岩登りに来ているのは我々だけのようだ。下山に一般ルートを降りずに、中央ルンゼを懸垂下降で降りる事にした。オーバーハングもあって空中に浮かぶところもある。皆初めての経験にかなり緊張したようだったが、器具の取り扱いにも習熟し、事故もなく下山できた。仙山線の踏切まで来ると緊張がほぐれ、安堵と充実感に満ちた表情になった。思わず皆と握手を交わした。
 山には危険が潜んでいる。人の力ではどう抵抗できるものではない。それを最小限にするべく、細心の注意を払わなければならない。慢心は禁物だ。山で遊ばせてもらうためには、常に謙虚な気持ちで対峙しなければならない。仕事も一緒だなといつも思う。学生のころは一人でも山にはよく行ったが、今は複数で入る事にしている。経験値から自分が他のメンバーの面倒を見ることになるが、逆にその事で間違いがないかどうかのチェックも、一人だけのときよりしやすいのだ。だから面倒を見なければならないと思う気持ちは全くなく、一緒に山に行ってもらっているという気持ちの方が強い。でもその中から、山にハマってしまう隊員も出てきているので、責任を感じるというか、危ない趣味だけに事故が起きなければいいな、事故が起きないようにしなくてはならないなといつも考えている。

記事の投稿日:2012年06月17日


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