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認知症(NHKスペシャルから)(2014.7.25)

column 認知症(NHKスペシャルから)(2014.7.25)

 認知症は現在わが国ですでに400万人を超え、その進行を阻止する手法の開発が世界中で行われています。いくつかの対症療法は存在しますが、認知機能の低下そのものを根本的に食い止める手法はまだ見つかっていません。先日NHKスペシャルでその特集が放送されました。

 そして今回、その効果が確認されたシロスタゾールは、従来は脳梗塞の予防に広く用いられる抗血小板薬(「血液サラサラ薬」)です。シロスタゾールは、血栓形成を抑制すると共に、血管を拡張させ脳血流を上昇させる作用があることが知られています。脳梗塞の再発予防で処方されることが多い薬品です。

 厚生労働省研究班によると、認知症の内訳は、アルツハイマー病68%、血管性認知症20%、レビー小体型など4%です。アルツハイマー病は、発症する25年前から神経細胞の老廃物であるアミロイドβが脳に沈着します。発症の15年前から海馬の萎縮が徐々に進行します。発症5年前から軽い物忘れが始まります。発症すると記憶力低下が顕著になって、更に進行すると身体の機能も低下して介護が必要になります。

 マウスの実験で、脳に蓄積したアルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβが、シロスタゾールによって現象することが分かりました。今後実際に認知症予防薬として使用されるには4-5年かかるようです。

 またアルツハイマー病は脳の糖尿病といえる状態が起きていることも分かってきました。糖尿病ではインスリンの働きが悪くなり、細胞が糖をうまく取り込めなくなって細胞がエネルギー不足になります。発症15年前から脳細胞が糖を取り込む力が低下している部位が出現し、徐々に増加して発症寸前には脳全体がエネルギー不足になっていることがわかりました。

 インスリンを鼻から噴霧することで、嗅神経から直接脳に吸収され効率よく海馬にインスリンが届けられるようです。これによって脳の糖尿病が改善されるのです。この治療法も数年後から認知症薬として承認されるようです。

 アメリカではアルツハイマー病の患者数が2050年には今の3倍になると言われています。福岡県久山町では50年にわたる住民健康調査によって、1992年から2012年までにアルツハイマー病が6倍に急増していることが分かりました。アルツハイマー病の原因を探ると生活習慣との関係が分かりました。認知症になりやすい人:糖尿病(2.1倍)、喫煙(2.7倍)、高血圧、肥満。認知症になりにくい人:運動(0.6倍)、減塩、禁煙、という結果でした。群馬大山口教授は『身体を動かすことが脳に一番よい。運動をしない人は認知症のリスクが高い。身体にたくさんの酸素を取り込むような運動が良い。うーんと力む様な運動は良くない』と話しています。つまりアルツハイマー病は、生活習慣病の一つと言えるわけです。認知症の発症リスクは、脳卒中、心臓病と同じ。予防も可能で、運動を実戦することで3-4割アルツハイマー病発症を減らせるのです。

記事の投稿日:2014年07月25日


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